9月の終わり、洗顔のあとに鏡を見たら、頬骨のあたりの点が夏の前より濃く見えること、ありませんか?
数えてみると、前はなかった小さな点まで増えている気がします。
そこで「夏のぶんを秋に取り戻そう」と、美白の美容液を探しはじめる人は多いはずです。
ところが、美白の美容液の箱に書ける効能は「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」までです。メラニンというのは、紫外線から肌を守るためにつくられる色のもとのことです。
いま顔にあるシミを薄くする、と箱に書ける化粧品・医薬部外品はありません。
いま顔にあるシミが気になるなら、皮膚科で相談してください。
夏が終わってから濃く見えるのは、夏に浴びた紫外線でつくられたメラニンが、数週間から数か月のあいだ肌に残るからです。この記事では、濃く見える理由と、早めに皮膚科へ行く目印を順に書きます。
濃い点が見当たらず、顔全体が一段暗く見えるときは、くすみのほうかもしれません。くすみの見分け方は夏の終わりのくすみの記事に書きました。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 夏が終わってから、シミが濃くなった・増えた気がする
- 美白美容液を買えば、いまのシミをどうにかできると思っている
- 美容液を買うのが先か、皮膚科へ行くのが先か決められない
夏に浴びた紫外線のメラニンは、数日後からつくられています
メラニンをつくるのは、肌の奥にある色素細胞です。
環境省は「紫外線環境保健マニュアル」を出しています。それによると、色素細胞は紫外線が当たった数日後からメラニンをどんどんつくりだします。つくられたメラニンは周りの細胞に配られます。細胞の中の遺伝子に紫外線が届かないよう、上にかぶさって守るためです。
肌が黒っぽくなる日焼けはサンタンと呼ばれます。同じマニュアルでは、サンタンは日光に当たって数日してから現れ、数週間から数か月続くとされています。
夏に浴びた紫外線のぶんのメラニンは、浴びてから数日のうちにつくられはじめています。9月や10月の鏡に映る色には、夏につくられたメラニンが残っています。
秋になってから濃くなったように見えるのは、なぜですか
夏につくられたメラニンは、数週間から数か月のあいだ肌に残ります。秋の鏡に映る色には、そのぶんが入っています。
つくられたメラニンは、肌の入れ替わりで外へ出ていきます
では、夏につくられたメラニンはそのあとどうなるのか。
肌の表面の細胞は、奥で生まれて外へ押し上げられ、最後ははがれ落ちます。この入れ替わりがターンオーバーです。つくられたメラニンは、はがれ落ちる細胞といっしょに外へ出ていきます。
つくられる量と出ていく量がつり合っていれば、色は残りません。出ていく量が追いつかないと、そのぶんが色として残ります。
ターンオーバーは年齢とともに遅くなります。同じだけつくられても、出ていくまでの日数が延びる。そのぶん、色が残りやすくなります。
メラニンの量を決めるのは、つくる側と出ていく側の2つです。このうち、美白の美容液の効能に書かれているのは「メラニンの生成を抑え」です。
「美白」と書いた美容液の箱に書けるのは、「防ぐ」までです
美白の美容液を選ぶなら、箱の「医薬部外品」の表示を見ます。医薬部外品とは、国が認めた成分が決められた量だけ入っているもののことです。
美白の医薬部外品の箱に書ける効能は、次のとおりです。
メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ
日本化粧品工業会は「化粧品等の適正広告ガイドライン」を出しています。そこでは、「美白」と書くときはこの効能を並べて書くよう決められています。使い続けるうちに、すでに黒い肌の色がだんだん白くなるとほのめかす表現は認められていません。
「美白」の1本の箱に書けるのは、「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」までです。いま顔にあるシミを薄くする、と箱に書ける化粧品・医薬部外品はありません。
9月の紫外線は、5月と同じくらい強い年があります
紫外線は、秋になっても届いています。
気象庁がつくば市で観測している紫外線の強さ(日最大UVインデックスの月平均)を見ると、こうなっています。
| 月 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|
| 3月 | 3.8 | 3.4 |
| 5月 | 6.5 | 5.6 |
| 8月 | 8.8 | 7.8 |
| 9月 | 6.2 | 5.9 |
| 10月 | 3.8 | 3.6 |
| 11月 | 2.3 | 2.4 |
(気象庁「日最大UVインデックス(観測値)の月平均値」つくば)
2024年の9月は5.9で、5月の5.6を上回っています。10月でも3.6あり、3月と同じくらいの強さです。
秋に美白の1本を始めるなら、日焼け止めもいっしょに続けてください。美容液だけに任せて日焼け止めをやめると、肌に届く紫外線の量は減りません。
秋から冬の日焼け止めの選び方は、9月の日焼け止めの記事にまとめました。
秋にやりがちな3つ
夏のぶんを秋に取り戻そうとすると、外しやすいところが3つあります。
① 美白の美容液を2本、3本と重ねる
いまのシミに手ごたえがないと、別の成分の美容液を足したくなります。けれど、どの1本も箱に書ける効能は同じ「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」です。何本重ねても、箱に書ける効能は増えません。
1本を、決められた量で毎日使うほうに力を回してください。
② 日焼け止めを夏でやめる
美容液に切り替えたつもりで、日焼け止めを9月でやめてしまう形です。上の表のとおり、9月の紫外線は5月並みに残っています。
③ こすって落とそうとする
スクラブや拭き取りで、シミのところを何度もこする人がいます。肌をこすると小さな炎症が起き、肌を守るためにメラニンがつくられる。落とすつもりで、つくられる量を増やすことになります。
洗顔もタオルも、押さえるだけにしてください。
こすって起きる小さな炎症も、メラニンがつくられるきっかけになります
いま顔にあるシミは、鏡では種類が決まりません
ここからは、いま顔にあるシミの話です。
「シミ」はふだんの呼び方で、皮膚科ではいくつかの種類に分けます。日本皮膚科学会などがまとめた「美容医療診療指針」では、次の5つが挙がっています。
- 日光黒子(老人性色素斑)。顔や手の甲など日の当たる場所に、年齢とともに出る
- 肝斑。主に両頬に左右対称に出る
- 雀卵斑(そばかす)
- 真皮メラノサイトーシス
- 炎症後色素沈着。色素沈着というのは、炎症やこすった刺激のあとに色が残ることです
同じ指針によると、これらは顔の中で混ざっていることも多く、いちばん多いのは日光黒子です。
皮膚科での手当ても、種類ごとに分かれます。同じ指針には、日光黒子に使われる強い出力のレーザーで、肝斑はかえって悪化することがあると書かれています。
どの種類なのかを決めるのは、鏡ではなく皮膚科です。いま顔にあるシミが気になるなら、皮膚科で相談してください。
頬骨のあたりに左右対称に広がるなら、肝斑のことがあります
5つのうち、自分で気づける手がかりがあるのが肝斑です。
肝斑は、頬骨のあたりに左右対称に広がります。美容医療診療指針では、紫外線を浴びることと女性ホルモンが、肝斑を悪くする主な理由に挙がっています。対処として最も大事なのは、紫外線を防ぐことです。
肝斑には、飲んで使う一般用医薬品もあります。トラネキサム酸(メラニンをつくらせないようにする成分)を飲む薬で、薬剤師のいるカウンターで買う第1類医薬品です。箱に書ける効能は「しみ(肝斑に限る)の緩和」です。
ただ、肝斑かどうかを自分で見分けるのは難しく、ほかのシミと混ざっていることもあります。頬骨のあたりに左右対称に広がっているときも、まず皮膚科で見てもらってください。
肝斑だったら、美白の美容液は使わないほうがいいですか
肝斑と分かったあとに何を使うかは、皮膚科で相談してください。
早めに皮膚科へ行く目印
シミだと思っていたものが、シミではないこともあります。
国立がん研究センターの「がん情報サービス」は、メラノーマ(皮膚がんの一種)の特徴として次の5つを挙げています。
| 見るところ | 目印 |
|---|---|
| 形 | 左右が非対称 |
| ふち | ギザギザしている |
| 色 | 色むらがある |
| 大きさ | 6mm以上ある |
| 変わり方 | 大きくなる。色・形・かたさが変わる |
表の目印に1つでも当てはまるなら、美容液を選ぶ前に皮膚科へ行ってください。
もうひとつ、平らだった点が盛り上がってきたときも皮膚科です。環境省のマニュアルでは、紫外線に関連してできる良性のものとして、脂漏性角化症も挙がっています。盛り上がったものは、平らなシミとは別のものです。
美白の1本は、箱の3か所を見て選びます
ここからは、美白の美容液の選び方に移ります。
見るのは、箱の次の3か所。
| 見る場所 | 見る言葉 | 分かること |
|---|---|---|
| 表 | 医薬部外品・薬用 | 国が認めた成分が決まった量入っている |
| 効能の欄 | メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ | 防ぐための1本であること |
| 有効成分 | トラネキサム酸・ビタミンC誘導体・アルブチン・4MSK など | どの成分でメラニンをつくらせないか |
ビタミンC誘導体というのは、ビタミンCを肌にしみこみやすい形に変えたものです。
成分の名前が並んでいても、狙いはどれもメラニンをつくらせないことです。成分で迷ったら、値段と、毎日使い続けられる塗り心地で選んでかまいません。
もうひとつ、容器の裏の注意書きも読んでおきます。多くの化粧品の容器には、赤み・かゆみや、色抜け(白斑等)などの異常が出たら使うのをやめて、皮膚科へ相談するよう書かれています。
秋から使う1本
1本目は、アスタリフト ザ セラム ブライトニング 40mL [医薬部外品]です。箱に「医薬部外品」と書かれた美白の美容液で、効能は「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」です。
続けるほど値段がかさむのが、この1本の弱点です。使い切ったら同じものを買い足す前提で、1本の値段を見てください。
いま顔にあるシミを薄くする、と箱に書ける化粧品・医薬部外品はありません。日焼け止めといっしょに、毎日使います。
美容液と組み合わせる日焼け止め
美容液と組みで使うのが、毎朝の日焼け止めです。
屋内で過ごす日はSPF20〜30・PA++、外を歩く日はSPF30〜50・PA+++を目安にします。この目安は、9月の日焼け止めの記事の表と同じです。
毎朝の1本の例がSPF30・PA+++の日焼け止め下地です。
使う前に、箱のSPFとPAが、その日の過ごし方の目安に届いているかを見てください。散歩や送り迎えのある日は、SPF30〜50・PA+++に届くものを塗ります。
よくある質問
Q. 夏に濃くなったシミは、美白の美容液でどうにかなりますか?
美白の医薬部外品の箱に書ける効能は「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」までです。いま顔にあるシミを薄くする、と箱に書ける化粧品・医薬部外品はありません。気になるシミは、皮膚科で相談してください。
Q. 美白の美容液は、秋から始めても遅くないですか?
紫外線は秋にも届いています。9月の紫外線は、5月と同じくらい強い年があります。秋から始めるなら、日焼け止めもいっしょに続けてください。
Q. 美白の美容液は、季節に関係なく使いますか?
紫外線は1年じゅう届くので、季節で止める理由はありません。10月の紫外線も、つくばの観測では3月と同じくらいあります。
Q. 増えたかどうか、自分で確かめる方法はありますか?
鏡で見比べると、洗面所の照明が白いか黄色いかで、同じシミでも濃さが違って見えます。同じ場所・同じ照明で写真を撮っておくと、前と比べられます。「早めに皮膚科へ行く目印」の表に1つでも当てはまるとき、平らだった点が盛り上がってきたときは、美容液を選ぶ前に皮膚科へ行ってください。
Q. 肝斑の飲み薬は、皮膚科へ行かずに買ってもいいですか?
薬剤師のいるカウンターで買えます。ただ、肝斑かどうかを自分で見分けるのは難しく、ほかのシミと混ざっていることもあります。まず皮膚科で見てもらってください。
まとめ
- 夏に浴びた紫外線のメラニンは、数日後からつくられている。秋の鏡に映る色には、そのぶんが残っている
- 「美白」の1本の箱に書けるのは「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」まで。いま顔にあるシミを薄くする、と書ける化粧品・医薬部外品はない
- 9月の紫外線は、5月と同じくらい強い年がある。日焼け止めは続ける
- 美容液を重ねない、日焼け止めをやめない、こすらない
- いま顔にあるシミが気になるなら、皮膚科で相談する。種類は鏡では決まらない
- 頬骨のあたりに左右対称に広がるなら肝斑のことがある。まず皮膚科で見てもらう
- 形・ふち・色・大きさ・変わり方の目印に1つでも当てはまるとき、平らだった点が盛り上がってきたときは、美容液を選ぶ前に皮膚科
- 美白の1本は、箱の「医薬部外品」と「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」を確かめてから、値段と塗り心地で選ぶ
美白の成分の名前と、区分ごとに箱へ書ける言葉はシミ・そばかすの化粧品の選び方にまとめました。
今夜は、洗面所の鏡の前で、頬骨のあたりのシミが左右対称に広がっていないかを見てみてください。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた化粧品を、まとめて見る
- シミ・そばかすの化粧品の選び方|成分別に使うもの
シミ・そばかすに使う美容液は、箱に「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」と書いてある医薬部外品から選びます。いま顔にあるシミを薄くする、と箱に書ける化粧品・医薬部外品はありません。気になるシミがあるときは、皮膚科で相談してから決めます。
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