スキーから帰った夜に鏡を見ると、ゴーグルの形だけ白く残って、顔のほかの場所は赤くなっている。あごの下までひりひりする。そんなこと、ありませんか?
気象庁がつくば市で測った紫外線の強さは、12月と1月には「弱い」の区分に入ります。それで、日焼け止めは夏のものと考えている方も多いはずです。
けれど、つくば市は雪の少ない平地です。雪の上では、地面から照り返す紫外線が加わります。山の上では、標高のぶんも紫外線が強くなります。
雪焼けは、上から降る紫外線だけでは説明できません。下から届く紫外線まで数えると、あごの下のように夏は影になる場所が焼ける理由が分かります。日焼け止めのSPFとPAも、数字を上げる日がはっきりします。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 冬の紫外線は弱いので、日焼け止めは要らないと思っている
- スキーや雪かきのあと、顔が赤くなったことがある
- 雪の日に使うSPFとPAの数字が分からない
冬のUVインデックスは、平地では「弱い」に入ります
UVインデックスは、紫外線が肌に与える強さを1から11以上の数字で表したものです。気象庁が毎日の紫外線情報で使っています。
気象庁がつくば市で観測した値(日最大UVインデックスの月平均)を並べると、こうなります。
| 月 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 12月 | 1.8 | 1.6 |
| 1月 | 1.8 | 1.9 |
| 2月 | 2.5 | 3.0 |
| 3月 | 3.4 | 3.5 |
| 8月(くらべる月) | 7.8 | 7.7 |
(気象庁「日最大UVインデックス(観測値)の月平均値」つくば)
気象庁が環境省の紫外線環境保健マニュアルをもとに載せている区分では、1〜2は「弱い」です。目安は「安心して戸外で過ごせます」とされています。
12月と1月の平地の紫外線は、8月の4分の1ほどの強さです。
ただし、この表は雪の少ない平地、つくば市で測った値です。雪の照り返しも、山の標高も入っていません。
雪の上では、地面から照り返す紫外線が8割になります
紫外線は、空から降るだけではありません。地面に当たって、はね返ってきます。
はね返る割合は、地面の種類で大きく違います。環境省の紫外線環境保健マニュアルに載っている数字を並べました。
| 地面 | 紫外線の反射率 |
|---|---|
| 新雪 | 80% |
| 砂浜 | 10〜25% |
| 水面 | 10〜20% |
| コンクリート・アスファルト | 10% |
| 草地・芝生・土 | 10%以下 |
街のアスファルトがはね返す紫外線は1割です。新雪は8割をはね返します。
同じマニュアルは、世界保健機関(WHO)の資料を引いて、冬の紫外線についても書いています。一般に冬の紫外線は弱いものの、雪の照り返しで2倍近く浴びることになり、高い山では特に注意が要る、という内容です。
雪の上では、上から降る紫外線に、下から照り返す紫外線が足されます。夏の砂浜とくらべても、新雪のほうがよくはね返します。
照り返しは下から来るので、帽子のつばでは止まりません
夏の日ざしは、上から顔に当たります。雪の照り返しが当たるのは、顔の下からです。
帽子や日傘がさえぎるのは、上から来る紫外線です。環境省のマニュアルも、帽子や日傘で防げるのは太陽から直接来る紫外線で、空気中で散らばった紫外線までは防げないと書いています。
下から来る紫外線は、帽子のつばの影に入りません。夏なら影になる、あごの下や鼻の下にも当たります。
スキーのあとに、あごの下まで赤くなるのはこのためです。
帽子をかぶっていれば、顔は焼けないと思っていました
帽子のつばが止めるのは、上からの紫外線です。雪の照り返しは下から来るので、あごの下や鼻の下にも届きます。
標高が1000m上がるごとに、UVBは10〜12%増えます
雪の照り返しに、もうひとつ足されるのが標高です。
環境省のマニュアルによると、標高が1000m上がるごとに、紫外線のUVBは10〜12%増えます。UVBは、浴びた翌日の赤みのもとになる紫外線です。
日本皮膚科学会も、山では空気の層が薄く澄んでいるため、平地より紫外線が強いと説明しています。
山のスキー場では、平地のUVインデックスに、標高の分と雪の照り返しの分が重なります。
春スキーの3月は、1月の2倍近い数字です
上の表を、もう一度見てください。つくば市の3月は3.4と3.5で、1月の1.8と1.9の2倍近くあります。
3を超えると、区分は「中程度」に上がります。目安の言葉は「日中は出来るだけ日陰を利用しよう」です。
日本皮膚科学会は、スキーの中でも特に春スキーは、照り返しで浴びる紫外線が多いので注意が要るとしています。
3月のゲレンデには、まだ雪があります。平地の数字が上がる時期に、雪の照り返しと標高の分が重なるわけです。
雪かきをする時間も、雪の上で過ごす時間です
雪の上で過ごすのは、スキーに行く人だけではありません。雪の多い地域では、朝と夕方に家の前の雪かきをします。
環境省のマニュアルは、紫外線を浴びることが多い仕事のひとつに「雪・氷上作業」を挙げています。雪かきも、新雪の上でする作業です。
スキーより時間は短くても、雪かきは毎日のように続きます。紫外線は、浴びた時間のぶんだけ積み重なります。
雪の上で過ごす日は、表の下の2行で選びます
では、雪の日はどの数字を選べばよいのか。9月の日焼け止めの記事の表に、雪の日を当てはめてみます。
| その日の過ごし方 | SPF | PA |
|---|---|---|
| 雪のない街の屋内で過ごす(通勤と買いもの) | 20〜30 | ++ |
| 雪のない街を歩く | 30〜50 | +++ |
| 雪の積もった町を歩く・雪かきをする | 30〜50 | +++ |
| スキー場・雪山で過ごす | 50 | ++++ |
数字は、9月の記事の表と同じです。雪の町を歩く日は、雪のない街を歩く日と同じ「外を歩く」の行です。スキー場は「海や炎天下」の行に当たります。
雪かきは、外を歩く行で選びます。照り返しはあっても、ゲレンデより標高が低く、外にいる時間も短いからです。
スキー場は、いちばん下の行にしてください。雪の照り返しと標高が重なるうえ、ゲレンデには長い時間いることになります。
雪で濡れたり、汗をかいたりする日は、箱に「ウォータープルーフ」や「UV耐水性」と書いてあるものを選んでください。
ミノン UVマイルドミルク 80ml(SPF50+・PA++++)【医薬部外品】は、SPF50+・PA++++の日焼け止め乳液です。医薬部外品(国が認めた有効成分が、決められた量だけ入っているもの)で、商品ページでは紫外線吸収剤フリー(ノンケミカル)、UV耐水性は星2つと書かれています。内容量は80mlです。
紫外線吸収剤が入っていないので、塗った肌は白く見えやすくなります。白さが気になっても、量は減らさないでください。
雪の上で塗り忘れやすいのは、あごの下・鼻の下・耳・唇です
数字を選んでも、塗っていない場所は防げません。雪の上では、夏に影になっていた場所にも紫外線が当たります。
あごの下と鼻の下
夏の日ざしは上から来るので、あごの下と鼻の下は影になります。雪の上では、照り返しがこの2か所に当たります。顔に塗ったあと、あごの下と鼻の下に指で足してください。
耳
ニット帽で耳が隠れる日もありますが、帽子を脱いだ日は出ています。耳のふちとうしろは、鏡の正面から見えません。
唇
唇には、SPFの表示があるリップクリームを重ねます。顔用の日焼け止めは、口に入るので塗りません。
UVカットリップクリーム(アスリートプロ)は、スポーツやアウトドア向けのUVカットリップクリームです。商品ページでは、商品名にSPF30、説明にSPF32・PA+++と書かれています。透明なスティックタイプで、内容量は3.3gです。
塗り直す間隔は、雪の上でも2〜3時間おきです。顔なら1回に指先ふたつぶんを使います。リフトに乗る前やお昼の休憩に、塗り直すと決めておくと忘れません。
目は日焼け止めで守れません。雪目は夜になってから出ます
雪の照り返しは、目にも当たります。目に日焼け止めは塗れません。
強い紫外線で目の表面の角膜が傷つくことを、俗に「雪目」と呼びます。日本眼科医会は、サングラスやゴーグルをかけずにスキーをしたあと、数時間後に激しい目の痛みと涙が出ると説明しています。
環境省のマニュアルでも、昼間に紫外線を浴びた場合、症状が出るのは夜から深夜、あるいは翌朝にかけてです。出るのは白目の充血、ゴロゴロする感じ、涙で、ひどくなると強い痛みになります。
雪の上で過ごした日の夜から翌朝に、目の痛み・充血・涙が出たら、眼科で診てもらってください。日本眼科医会によると、治療には目薬と飲む痛み止めが使われ、ふつうは数日で治ります。
雪目の痛みは、雪の上にいるあいだではなく、数時間たってから出ます
サングラスは、色の濃さではなく、UVカットの表示で選びます
雪目を防ぐのは、紫外線をカットする眼鏡です。環境省のマニュアルでは、UVカット機能のある眼鏡やサングラスで、目に入る紫外線は90%減るとされています。
選ぶときに見るのは、レンズの色ではありません。色の濃いサングラスをかけると、目に入る光が減って、瞳が普段より大きく開きます。レンズの紫外線カットが足りないと、かえって多くの紫外線が目に入ることがある、と同じマニュアルは注意しています。
もうひとつは形です。紫外線は正面だけでなく、横や下からも目に入ります。マニュアルが勧めるのは、顔に沿った、ある程度の大きさがある眼鏡です。雪の照り返しは下からも来るので、スキー場では目のまわりを覆うゴーグルが向いています。
UVカットのスキーゴーグルは、商品名に「99.9%UVカット」と書かれたスキー用のゴーグルです。レンズは球面のダブルレンズで、曇り止め加工がされています。
雪焼けの赤みが出るのは翌日です
肌の赤みも、目と同じで遅れて出ます。日本皮膚科学会によると、紫外線で肌が赤くなるサンバーンは紫外線による皮膚のやけどで、翌日に痛みをともなって赤く腫れます。
そのあと、肌を守るためにメラニン(紫外線から肌を守るためにつくられる色のもと)が増えて、色が黒くなります。
医薬部外品の効能の範囲では、日焼け止めの箱に書ける効能は次のとおりです。
日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ。日やけ・雪やけを防ぐ。日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。皮膚を保護する。
この中に、すでに出ているシミを薄くするという言葉はありません。夏から冬までに残ったシミが気になるなら、皮膚科で相談してください。シミが濃く見える理由は夏が終わってシミが濃く見える記事にまとめました。
よくある質問
Q. 曇りの日のスキーでも、日焼け止めは要りますか?
要ります。環境省のマニュアルによると、薄い雲ならUVBの80%以上が通り抜けます。雪の照り返しも、曇りの日に止まるわけではありません。
Q. 雪かきは30分ほどです。それでも塗りますか?
塗ります。表の「雪の積もった町を歩く・雪かきをする」の行、SPF30〜50・PA+++を目安にしてください。毎日続くので、浴びる量は積み重なります。
Q. ゴーグルの跡だけ白く残りました。目は大丈夫でしょうか?
ゴーグルをかけていたあいだ、目に届く紫外線は減っています。それでも、その夜から翌朝に目の痛み・充血・涙が出たら、眼科で診てもらってください。
Q. 冬にふだん使う日焼け止めは、夏と同じものでよいですか?
雪のない街で過ごす日は、9月の記事の表のとおりです。屋内ならSPF20〜30・PA++、外を歩く日はSPF30〜50・PA+++。SPF50・PA++++まで上げるのは、スキー場や雪山で過ごす日です。
Q. 子どもとそり遊びをします。何を塗ればよいですか?
スキー場や雪山で遊ぶなら、いちばん下の行、SPF50・PA++++です。家の近くの雪で遊ぶなら、雪の町を歩く日と同じSPF30〜50・PA+++の行です。子どもに使えるかは、箱と商品ページの表示を確かめてください。
まとめ
- 冬の平地のUVインデックスは、12月と1月で2を下回る。区分は「弱い」
- 新雪は紫外線の8割をはね返す。アスファルトは1割
- 照り返しは下から来るので、帽子のつばでは止まらない。あごの下と鼻の下に当たる
- 標高が1000m上がるごとに、UVBは10〜12%増える
- 3月の平地の数字は1月の2倍近い。春スキーは照り返しと重なる
- 雪の町を歩く日と雪かきはSPF30〜50・PA+++、スキー場はSPF50・PA++++
- 塗り忘れやすいのは、あごの下・鼻の下・耳・唇
- 雪目は夜から翌朝に出る。目の痛み・充血・涙が出たら眼科へ
- サングラスは色の濃さではなく、UVカットの表示で選ぶ
場面ごとに選ぶSPF・PAの数字と塗る量は、日焼け止めの選び方にまとめました。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた化粧品を、まとめて見る
- 日焼け止めの選び方|場面別に使うSPF・PA
日焼け止めは、SPFの数字とPAの+の数が、両方とも箱に出ているものから選びます。屋内で過ごす日はSPF20〜30・PA++、外を歩く日はSPF30〜50・PA+++、海や炎天下ならSPF50・PA++++が目安です。SPFとPAが防ぐ相手の違いと、1回に塗る量もまとめました。
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