寒い朝、石油ファンヒーターの「給油」のランプが点いて、急いでタンクを抜いた経験はありませんか?
石油ファンヒーターや石油ストーブの注意と聞くと、まず換気とガソリンの入れ間違いが思い浮かぶはずです。どちらも大事な注意です。
ただ、製品評価技術基盤機構(NITE)の集計で、人がけがをしたり亡くなったりした事故の原因で最も多かったのは、給油口キャップの閉め忘れと締め付け不良でした。キャップがゆるんだまま本体へ戻したタンクから灯油が漏れ、そこに火が移る事故です。
危ない場面は、火をつけているあいだだけにかぎりません。タンクを抜いて、灯油を入れて、戻すまでの数分にもあります。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 石油ファンヒーターや石油ストーブを、毎年の冬に使っている
- 給油のたびに、どこまで気をつければよいのか迷う
- 前の冬に残った灯油を、そのまま使ってよいのか知りたい
- 離れて暮らす親が、石油ストーブを使っている
人に被害が出た事故で多いのは、給油口キャップです
NITEは、2014年度から2018年度の5年間に届いた暖房器具の事故を集計しています。石油ストーブと石油ファンヒーターの事故は337件で、そのうち95%にあたる321件が火災でした。死亡事故は50件、亡くなった人は57人です。
人がけがをしたり亡くなったりした事故は108件あります。原因ごとの被害者の数は、次のとおりです。
| 原因 | 死亡 | 重傷 | 軽傷 | 計 |
|---|---|---|---|---|
| 給油口キャップの閉め忘れ・締め付け不良による引火 | 10人 | 3人 | 14人 | 27人 |
| ガソリンの誤給油による出火 | 7人 | 3人 | 15人 | 25人 |
NITEの資料によると、原因が分かった事故はどれも使い方によるものです。多い順に、キャップ、ガソリン、燃えやすい物の接触です。
給油は、火を消してから始めます
給油は、必ず火を消してから行います。NITEもシャープも、そう求めています。灯油を入れる場所は、火の気のない所です(シャープ)。
石油燃焼機器は2009年に消費生活用製品安全法の「特定製品」に指定され、2011年からPSCマークのない製品は売ることができなくなりました。
PSCマークの付いた製品は、火がついたままタンクを抜いても、90秒以内に火が消える作りです(給油時消火装置)。
給油時消火装置があっても、タンクを抜く前に消火してください。NITEは、消火のあとも燃焼筒が熱いままで、その燃焼筒にかかった灯油に火が移る例を挙げています。
90秒で消えるなら、つけたまま抜いても同じでは
火が消えるまでに最大で90秒かかり、消えたあとも燃焼筒は熱いままです。
締めたら、キャップを下にして漏れを見ます
NITEが紹介している死亡事故の1件は、キャップの斜め締めです。タンクに灯油を入れたあと、キャップが斜めに締まっていたため、本体に戻すときに灯油がこぼれました。拭き取りが足りないまま火をつけ、こぼれた灯油に火が移っています。
| 順番 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 火を消して、タンクを抜く | 燃焼筒の熱にこぼれた灯油がかからないように |
| 2 | 火の気のない所で灯油を入れる | 灯油に火が移らないように |
| 3 | キャップをまっすぐ締める | 斜めに締まると、戻すときにこぼれる |
| 4 | キャップを下にして、漏れないかを見る | 締め忘れと締め付け不良に気づける |
| 5 | タンクの外側を拭いてから本体に戻す | 本体のまわりに灯油を残さない |
PSCマークの付いた製品は、キャップが閉まったことを音や色、手ごたえで確かめられます。
灯油が本体にこぼれたときは、使うのをやめてください。灯油が機器の中まで入っているおそれがあるので、NITEが勧める相談先は、販売店かメーカーです。
入れすぎると、給油口からあふれます
タンクに入れる量にも、上限があります。シャープは、油量計の上限を超えて入れると、給油口から灯油があふれるおそれがあると説明しています。
灯油を入れるときは、油量計から目を離さないでください。満タンになると自動で止まる電動ポンプも売られています。
ポリタンクの口に付けたままにする、固定式の1台が自動で止まる灯油ポンプ(乾電池式)です。
タンクがいっぱいになると自動で止まる型で、流れる量は1分に約7リットルです。電池は単三形のアルカリ乾電池4本を、別に用意します。口径50ミリのポリタンク専用なので、手持ちのタンクの口の大きさを先に確かめてください。
ガソリンは、少し混ざっただけでも火災になります
ガソリンの誤給油でけがをしたり亡くなったりした人は25人で、そのうち亡くなった人は7人です。NITEの資料でも、少しの混入で火災になるおそれがあると注意を促しています。
灯油とガソリンを同じ容器で保管していて、ガソリンの混ざった灯油を入れた火災が起きています。同じ場所に置いたガソリンを、灯油とまちがえた火災もあります。
NITEが勧める分け方は3つです。灯油は灯油用のポリタンクなどの専用容器に、ガソリンは消防法に適合した金属製の携行缶に入れます。そのうえで2つを別の場所に置き、ラベルで区別します。
灯油用の専用容器の目印は、JIS規格(JIS Z 1710)の認証や、危険物保安技術協会(KHK)の試験確認済証などです(NITE)。
部屋の中に置ける色の灯油用タンクの1つが灯油用ポリタンク 18L(JIS規格)です。
容量は18リットルで、商品ページはJIS規格に準拠していると説明しています。給油口のネジ部の外径は50ミリなので、上の電動ポンプの口径と合います。弱いところは2つです。商品ページは輸送には向かないと書いているので、給油所から車で運ぶ人には向きません。値段も、ふつうの18リットルのポリタンクより高くなります。
高齢の家族だけの家は、まわりの人も確かめます
NITEの資料では、キャップの事故とガソリンの誤給油の多くが、高齢者だけの世帯で起きています。NITEによると、家族や周りの人の理解も大事です。
離れて暮らす親の家に行ったら、次の3つを見てください。
- 灯油のタンクとガソリンの携行缶が、同じ場所に置かれていないか
- ストーブの本体に、PSCマークが付いているか
- 給油口キャップを締めたあと、キャップを下にして漏れを見ているか
PSCマークのない古い機種には、さきほどの給油時消火装置が付いているとはかぎりません。NITEは、PSCマークの付いた製品への買い替えを検討するよう勧めています。
前の冬の灯油は使いません
春に残った灯油を、秋にそのまま使うのはやめてください。シャープは、1シーズン以上保管した灯油を変質灯油と呼び、使わないよう案内しています。強いにおいが出たり、異常燃焼や故障の原因になったりするためです。
とくに注意が要るのは、前の年から持ち越した灯油と、ポリ容器のまま暑い場所や日の当たる場所に置いた灯油です。
見分けるには、透明なガラスのコップに水と灯油を入れ、うしろに白い紙を当ててください。水と分かれた灯油がうすい黄色に見えたら、変質しています。良い灯油は無色透明です。
残った灯油は、側溝や外の流しに捨てないでください。仙台市は、処分するときは販売店などに相談するよう呼びかけています。
灯油の店頭価格は、18リットルで2,538円、1リットルあたり141円です(資源エネルギー庁 石油製品価格調査、2026年9月28日時点の全国平均)。春に5リットル残れば、約700円ぶんの灯油を処分することになります。冬の終わりが近づいたら、使い切れる量だけを買い足してください。
換気の目安は、1時間に1〜2回です
石油ファンヒーターと石油ストーブは、部屋の空気を使って灯油を燃やし、燃えたあとのガスを部屋の中に出します(東京都の保健所)。
換気をしないで使い続けると、部屋の酸素が減って不完全燃焼が進みます。そうなると、一酸化炭素が急に増えて中毒を起こします。
換気の目安は、1時間に1〜2回、1回1〜2分です(シャープ)。窓を開ける時間には目安の幅があり、東京都の保健所は1時間に1回以上、5分程度としています。お使いの機種の取扱説明書に回数と時間が書いてあれば、その数字に従ってください。
窓は2か所を開けると、空気が早く入れ替わります。灯油を燃やすと、燃やした量とほぼ同じ量の水も部屋に出ます。出る水の量と、換気で外へ出す方法を書いたのが窓の結露の記事です。
一酸化炭素は、においでは気づけません
一酸化炭素は、色もにおいもない気体です。東京都の保健所によると、はじめは頭痛が起こり、濃度が上がると吐き気やめまいへ進みます。
濃度を数字で確かめるには、一酸化炭素チェッカーを使います。空気中の一酸化炭素の濃度を画面に出し、決まった濃度が一定の時間続くと音で知らせる1台が一酸化炭素チェッカー(電池式・音声で知らせる)です。
単四形の乾電池3本で動き、電池は付いてきます。警報は日本語の音声でも流れます。
商品名には「キャンプ用」とありますが、商品ページの説明では、家でもキャンプでも使える持ち運び型です。
ただし、商品ページによると、30ppm以下の濃度では、画面の数字が変化しません。ヒーターの温風を直接当てても、風で広がるので警報は鳴らないとも書いてあります。
チェッカーは換気の代わりにはなりません。換気は1時間に1〜2回続けたうえで、鳴ったら窓を開け、ストーブの火を消してください。
カーテンと洗濯物を、ストーブに近づけません
人に被害が出た事故の原因で3番めに多いのが、燃えやすい物の接触です。NITEは、ストーブの周りに布団や衣類を置くこと、カーテンの近くにストーブを置くことを危険な使い方に挙げています。
ストーブの上で洗濯物を乾かすのも、やめてください。乾いて軽くなった衣類が温風にあおられ、熱い所に落ちることがあります。
NITEによると、燃えやすい物が触れた事故の多くは、使っている途中でその場を離れたときや、寝ているあいだに起きています。
スプレー缶やカセットコンロのボンベも、温風や熱が当たる所に置かないでください。熱で缶の中の圧力が上がり、破裂するおそれがあります(シャープ)。
寝る前と出かける前は、火を消します
NITEは、寝る前に必ず火を消し、完全に消えたことを確かめるよう求めています。つけたまま眠ると、布団が熱い所に触れて燃えるおそれがあるうえに、寝ているあいだは火に気づくのが遅れるためです。
寝るときの冷えには、布団の中だけを暖める電気毛布が使えます。電気毛布の選び方と電気代は、冬の暖房家電を10月に決める記事にあります。
部屋の暖房費を下げる順番を書いたのは、暖房費の記事です。
消し忘れが心配なときは、どうしますか
出かける前と寝る前に、火を消して完全に消えたかを見る。この2回を決まりにしてください。
よくある質問
Q. エアコンと一緒に使うときも、換気は要りますか?
要ります。エアコンをつけていても、石油ファンヒーターは部屋の空気で灯油を燃やし、燃えたあとのガスを部屋に出します。
Q. 前の冬の灯油が、見た目は透明です。使ってもよいですか?
使わないでください。1シーズン以上保管した灯油は、シャープの説明では変質灯油にあたります。黄色く見えるかどうかは見分け方の1つで、透明なら使ってよいという意味ではありません。
Q. ガソリンを入れてしまったかもしれません。どうしますか?
火をつけないでください。NITEは、少しの混入でも火災のおそれがあるとしています。そのまま使わずに、購入した販売店かメーカーに相談してください。
Q. 換気扇を回していれば、窓は開けなくてよいですか?
東京都の保健所は、窓を開けるほかに、時間を決めて換気扇を回す方法も挙げています。どちらの場合も、回数と時間の目安は取扱説明書で確かめてください。
Q. 古い石油ストーブは、点検したほうがよいですか?
シャープは、異常がなくても石油暖房器具は2年に1度ほど点検するよう勧めています。点検は有料で、機種によっては修理できないこともあります。
まとめ
- 人に被害が出た事故の原因で多いのは、給油口キャップの閉め忘れと締め付け不良です(NITE、2014〜2018年度)
- 給油は火を消してから、火の気のない所で行います。キャップを締めたら、キャップを下にして漏れを見ます
- ガソリンは金属製の携行缶に入れ、灯油と別の場所に置きます。少しの混入でも火災のおそれがあります
- 前の冬の灯油は使いません。残ったら、販売店などに相談します
- 換気は1時間に1〜2回、1回1〜2分が目安です。一酸化炭素は色もにおいもありません
- カーテン、布団、洗濯物をストーブに近づけず、寝る前と出かける前は火を消します
冬のほかの困りごと(窓の水滴、足元の寒さ、暖房費)を集めたページが、冬の困りごとと、使うものです。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話で使える便利グッズを、まとめて見る
- 冬の困りごと:暖房費が上がる
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