やかんのお湯を湯たんぽに注ぎながら、沸かしたてで大丈夫かな、と手が止まることはありませんか。
湯たんぽで気をつけることといえば、まず低温やけどが浮かぶと思います。寝ているあいだに、足が湯たんぽにふれ続けて起きるやけどです。
ところが、消費者庁に集まった湯たんぽの事故には、温める準備の途中で起きたものも多くあります。お湯を沸かすときや、電子レンジで温めるとき、充電するときに、本体が破れたり破裂したりする事故です。
準備のときに守ることは、湯たんぽの材質と温め方で違います。金属なら火にかけられる型がありますが、ゴムには熱湯を入れられません。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 湯たんぽを買いたいが、お湯式・レンジ式・充電式のどれにするか迷っている
- 手もちの湯たんぽに、沸騰したお湯を入れてよいのか分からない
- カバーをしていれば、朝まで布団に入れておいてよいのか知りたい
湯たんぽの事故は、温めている途中にも起きます
消費者庁の発表(2020年12月)では、2015年11月から2020年10月までの5年間に、湯たんぽの事故情報が108件寄せられています。そのうち68件がやけどで、治るまでに1か月以上かかった重傷が31件ありました。
事故が多いのは12月で、次が1月と2月です。
消費者庁は、湯たんぽを温め方で3つに分けています。
- お湯を入れるタイプ(金属・樹脂・ゴムの容器)
- 電子レンジで温めるタイプ
- 通電して温めるタイプ(「充電式」「電気蓄熱式」とも呼ばれる)
3つのうち、事故の種類でいちばん多いのは、破損・破裂・膨張です。通電して温めるタイプでは、49件のうち27件が通電中の破裂でした。
湯たんぽの事故は、布団の中のほかに、温める場所でも起きています。選ぶときは、温める手順を自分が毎晩守れるかも見てください。
お湯を入れる湯たんぽは、材質でお湯の温度が違います
お湯を入れるタイプは、容器の材質が3つあります。金属・プラスチック・ゴムです。材質によって、火にかけられるかどうかと、入れてよいお湯の温度が決まります。
| 材質 | 火やIHで温められるか | 入れるお湯 |
|---|---|---|
| 金属 | 対応と表示された型だけ。キャップを外して温める | 熱湯を口元までいっぱいに |
| プラスチック | 温められない | 商品の耐熱温度まで。決められた量を入れる |
| ゴム | 温められない | 商品の耐熱温度まで。熱湯は入れない |
上の表は目安です。正しい温度と量は商品ごとに決まっているので、取扱説明書と本体の表示で確かめてください。
金属の湯たんぽは、キャップを外してから火にかけます
金属の湯たんぽの中には、ガスの火やIHの調理器に直接かけられる型があります。やかんから移さずに済むので、熱湯をこぼすおそれが減ります。
火にかけるときに守るのは、キャップを外すことです。キャップを閉めたまま温めると、中の空気と湯気の逃げ場がなくなり、内側の圧力が上がって本体が破裂することがあります。NITE(製品評価技術基盤機構)は、キャップを閉めたまま温めて破裂させる再現実験の映像を公開しています。
もし閉めたまま温めてしまったら、すぐにキャップを開けてはいけません。中からお湯が吹き出すことがあるので、火を止めて冷めるまで待ちます。
本体が日本製で、火とIHの両方に使える金属の1つがマルカ 湯たんぽ Aエース 2.5L(金属・袋付)です。
容量は約2.5リットルで、本体は亜鉛めっきの鋼板です。カバーと替えのパッキンが付いています。商品ページの注意書きでは、火にかけるときのお湯は7分目までにして、使う前に口元までお湯を足していっぱいにします。カバーに入れずに本体だけで使うことはできません。
プラスチックの湯たんぽは、決められた量のお湯を入れます
プラスチックの湯たんぽは軽く、さびません。火やIHにはかけられないので、沸かしたお湯を注いで使います。
入れてよいお湯の温度は、商品によって違います。楽天の商品ページには、耐熱温度を110度と書いた品もあります(2026年10月時点)。買う前に、耐熱温度の行を見てください。
お湯の量にも決まりがあります。消費者庁によると、金属や硬いプラスチックの湯たんぽに少ない量のお湯を入れて使い続けると、中の圧力が上がったり下がったりして本体が傷みやすくなります。「満杯」と書いてある型なら、注ぎ口の根もとまで入れてください。
プラスチックは古くなると、力のかかるところが白っぽくなります。その白いところからお湯がもれることがあるので、白くなっていないかを使う前に見てください。
ゴムの湯たんぽには、熱湯を入れません
ゴムの湯たんぽは、やわらかく体の形に沿います。気をつけるのは、お湯の温度です。NITEは、ゴムの湯たんぽにお湯を入れるときは取扱説明書を見て、お湯の温度が耐熱温度より低いことを確かめるよう呼びかけています。
天然ゴムで2リットルのマンネンのゴム湯たんぽ 2.0L カバー付は、商品ページに「70度以上のお湯を入れないでください」とあります。
カバーはポリエステル製です。湯たんぽの本体にはSGマークが付いています。SGマークは、製品安全協会の安全基準に合うと認められた製品に付く印です。
沸かしたてのお湯は100度近いので、そのままでは注げません。水を足して温度を下げてから入れてください。
ゴムは年数がたつと傷みます。消費者庁に寄せられた事例には、3年ほど前に買ったゴムの湯たんぽが使っている途中で破れ、熱湯がもれてやけどをしたものがあります。
沸かしたお湯に水を足すと、すぐ冷めませんか
お湯の温度が低いぶん、冷めるのは早くなります。それでも、耐熱温度を超えたお湯で本体が破れるほうが危ないので、決められた温度を守ってください。
レンジで温める湯たんぽは、出力と時間を守ります
電子レンジで温める湯たんぽは、中の水やジェル、ビーズなどを温めます。守ることは、商品に書かれた電子レンジの出力(ワット数)と加熱時間です。消費者庁は、電子レンジの「オート」や「おまかせ」の機能で温めないよう呼びかけています。オート機能は加熱する時間を電子レンジが決めるので、湯たんぽが熱くなりすぎるおそれがあります。
消費者庁に寄せられた事例にも、説明書を読まずにオート機能で温め、電子レンジの中で破裂したものがありました。
温めている途中で袋がふくらんだときは、すぐに扉を開けないでください。電子レンジを止めて、しばらく置いて冷めてから取り出します。NITEの事例では、ふくらんだので慌てて扉を開けたところ破裂して、中身が顔にかかっています。
ジェルを温める型の1つが白元アース レンジでゆたぽん Lサイズです。
洗える専用のカバーが付いています。メーカーの白元アースの表示では、温かさが続くのは約7時間。それでも、寝るときは布団から出してください。
袋に亀裂や破れが見つかったら、使わずに買い替えてください。
充電式は、布団の中で充電しません
充電式の湯たんぽは、本体をコンセントにつないで中の液体を温めます。消費者庁の区分では「通電して温めるタイプ」で、電気用品安全法の「電気あんか」にあたります。そのためPSEマークの無い製品は売ることができません。
先ほどの数字のとおり、このタイプは通電中の破裂が多く寄せられています。消費者庁は、次のことを守るよう呼びかけています。
- 布団や毛布の中で充電しない。安全装置が働かなくなり、破裂するおそれがある
- 充電は平らな場所でする。傾いたところでは、表面の一部だけが熱くなる
- 充電しているあいだは、その場を離れない
- 充電したまま使わない。感電などのおそれがある
本体が異常にふくらんだり、コードから煙が出たりしたら、すぐに使うのをやめてください。
カバーをしていても、低温やけどは起きます
ここからは、温めたあとの話です。
低温やけどは、熱いと感じない温度のものに、体の同じところが長くふれていて起きるやけどです。皮膚の温度と、低温やけどになるまでの時間の目安は次のとおりです。製品安全協会の冊子「製品と安全」72号に山田幸生さんが載せた数字で、消費者庁・NITE・東京都生活文化局も注意喚起でこの数字を使っています。
| 皮膚の温度 | 低温やけどになるまで |
|---|---|
| 44度 | 3〜4時間 |
| 46度 | 30分〜1時間 |
| 50度 | 2〜3分 |
製品安全協会がSGマークの湯たんぽ向けに作った説明書の見本では、カバーの上から厚手のバスタオルなどで包むと表面の温度が下がり、やけどになるまでの時間は長くなるとしています。ただ、それで低温やけどを防げるとは限らないとも書いています。消費者庁に寄せられた事例には、カバーを付けて使っていたのに低温やけどを負ったものがあります。
低温やけどは見た目が軽そうでも、皮膚の深いところまで傷んでいることがあります。
寝るときは、湯たんぽを布団から出します
湯たんぽの使い方について、消費者庁・NITE・東京都の呼びかけは同じです。寝る前に布団を温めるのに使い、温まったら布団から出して眠ります。
眠っているあいだは、熱さに気づきにくくなります。NITEが挙げる事例も、足首が湯たんぽにふれたまま長く寝ていて、低温やけどを負ったものです。
お年寄りや子どもは皮膚が薄く、低温やけどが重くなりやすいとされています。お年寄りや糖尿病の方は、熱さを感じにくくなっていることもあります。子どもや介護が必要な方が使うときは、まわりの大人がときどき湯たんぽの位置を変えてください。
電気毛布や布団乾燥機も含めた、布団の温め方の順番は、布団が冷たくて寝つけない夜の記事にまとめています。
出したあと、足が冷えてきたらどうしますか
朝まで湯たんぽを入れておく代わりに、体の下に敷き毛布を1枚足してください。冷えは敷き布団の側からも来ます。
シーズンの使いはじめに、もれを確かめます
湯たんぽは、春から秋まで使わずにしまっておくことが多い品です。消費者庁は、シーズンの使いはじめに、お湯の前に水を入れて逆さにして振るよう勧めています。水がもれないのを確かめてから、お湯を入れてください。
金属の湯たんぽは、さびで目に見えない小さな穴があくことがあります。マルカの商品ページでは、底などに黒い点が出てきたら、内側のさびが表面に近づいたしるしとしています。
キャップのパッキンも古くなるので、ときどき替えてください。温泉の湯や入浴剤を入れた水は、本体の傷みを早めるので使いません。
使い終わったら水を切って乾かし、日の当たらないところにしまいます。手もちの湯たんぽがリコールの対象になっていないかは、消費者庁のリコール情報サイトで調べられます。
1回にかかる電気代
湯たんぽは電気代がかからないと思われがちです。でも、お湯を沸かすのにエネルギーを使います。
電気ケトルで沸かす場合を計算します。水2.5リットルを15度から100度まで上げるのに要る熱は、電気にすると約0.25キロワットアワーです。1キロワットアワー(1,000ワットの機器を1時間使ったぶんの電気)を31円とすると、約8円かかります。31円は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価です。
ケトルから逃げる熱があるので、実際はこれより少し多くなります。充電式は、商品ページの消費電力と充電時間から出します。下の表では、400ワットで15分とおきました。
| 使うもの | 1回の電気代 |
|---|---|
| 金属の湯たんぽ(2.5リットルを100度まで沸かす) | 約8円 |
| ゴムの湯たんぽ(2リットルを70度まで沸かす) | 約4円 |
| 充電式(400ワットで15分とした場合) | 約3円 |
| 電気毛布を布団に入る前の30分だけ(50ワット) | 約0.8円 |
| 電気毛布を一晩つけっぱなし(50ワットで8時間) | 約12円 |
電気毛布の数字は、暖房家電の品切れの記事と同じ前提です。入る前に布団を温めるだけなら、電気毛布のほうが安くなります。
湯たんぽを選ぶ理由は、電気代より、コンセントの位置を気にせず置けることと、コードが無いことです。
よくある質問
Q. 湯たんぽに沸騰したお湯を入れてもよいですか?
材質と商品によります。この記事で挙げた金属の湯たんぽは口元までお湯を入れて使います。同じく挙げたゴムの湯たんぽには、70度以上のお湯を入れられません。手もちの湯たんぽの取扱説明書と、本体の表示を見てください。
Q. カバーに入れていれば、朝まで布団に入れておいてもよいですか?
入れておかないでください。カバーをしていても、肌の同じ場所がふれ続ければ低温やけどになります。布団が温まったら、寝る前に布団から出します。
Q. レンジで温めたのに、ぬるいです。時間を延ばしてもよいですか?
商品に書かれた出力と時間を守ってください。オート機能も使いません。時間を延ばすと熱くなりすぎて、破裂するおそれがあります。
Q. 湯たんぽで足が赤くなりました。どうすればよいですか?
低温やけどは、見た目より重いことがあります。消費者庁は、皮膚の色が変わる、痛む、違和感があるといったときは自分で判断せず、皮膚科などの医療機関にかかるよう呼びかけています。
Q. 湯たんぽは何年使えますか?
使う期間や回数を決めている製品もあるので、取扱説明書を見てください。お湯を入れるタイプでSGマークの付いた製品には、欠陥でけがをしたときの賠償の制度があります。賠償を受けられるのは購入日から、金属は1年、ゴムとプラスチックは3年までです。
まとめ
- 湯たんぽの事故は、寝ているあいだだけでなく、温めている途中にも起きる
- 金属は対応した型だけ火にかけられる。そのときはキャップを外す
- ゴムには熱湯を入れない。プラスチックは決められた量のお湯を入れる
- レンジ式はオート機能を使わず、充電式は布団の中で充電しない
- カバーをしていても低温やけどは起きる。布団が温まったら、寝る前に布団から出す
今夜湯たんぽを使うなら、まず本体の表示で材質と耐熱温度を確かめてください。
足元の寒さや暖房費といった冬のほかの困りごとは、冬の困りごとと、使うものにまとめています。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
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