黒いセーターの肩に、白い粉が落ちている。頭をかくと、また粉が落ちる。冬の朝、そんなことはありませんか?
フケを見ると、頭が汚れているせいだと思いがちです。そこで1日に2回シャンプーをしたり、熱いお湯で長く流したりしたくなります。
ところが、フケには乾いたフケと脂っぽいフケがあります。乾いたフケは、洗いすぎで頭皮の皮脂が足りなくなると出ます。脂っぽいフケが出るのは、皮脂が多い頭皮です。洗う回数を増やしてよいのは、脂っぽいフケのときだけです。
手当ての行き先は、フケの見た目と頭皮の色で決まります。シャンプーを買い替える前に、まず見分けてください。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 冬になると、肩や襟に白いフケが落ちる
- 頭皮がかゆくて、シャンプーの回数を増やそうか迷っている
- 薬用シャンプーと、化粧品の頭皮用ローションのどちらを買えばよいか決められない
フケは、はがれ落ちた頭皮の角層
フケの正体は、頭皮の古い細胞です。頭皮のいちばん外側には角層があります。角層とは、はがれ落ちる手前の細胞が重なった層のことです。
第一三共ヘルスケアの解説によると、皮膚は約6週間のサイクルで生まれ変わり、頭皮も同じです。古くなった角質が押し出されてはがれ落ちると、フケになります。角質とは、角層をつくっている細胞のことです。
ふだん出るフケは垢のように小さく、洗髪で落ちるので目立ちません。
肩に落ちて見えるほどのフケは、はがれる量が増えている合図です。量が増える理由は、乾いたフケと脂っぽいフケで違います。
乾いたフケと脂っぽいフケは、見た目で分かれる
第一三共ヘルスケアと持田ヘルスケアの解説をもとに、2つの違いを並べました。
| 乾いたフケ | 脂っぽいフケ | |
|---|---|---|
| 色と形 | 白く細かい | 白〜やや黄色がかった白 |
| さわった感じ | カサカサしている | 湿ってベタベタしている |
| 落ち方 | パラパラ落ちる | かたまりで落ちる。頭皮や髪に貼りつく |
| 増えやすい季節 | 空気が乾く冬 | 湿気の多い夏 |
| おもな原因 | 洗いすぎで皮脂が足りない | 皮脂が多く、頭皮のカビが増える |
冬に増えやすいのは、乾いたフケです。ただし、冬でも脂っぽいフケは出ます。その話は、あとの節で書きます。
乾いたフケは、皮脂が足りない頭皮から出る
乾いたフケの原因は、頭皮の乾燥です。
第一三共ヘルスケアの解説では、洗いすぎや洗浄力の強いシャンプーが、皮脂を必要以上に落とします。乾いた頭皮は生まれ変わりのリズムが早まり、育ちきらない角質まではがれ落ちます。持田ヘルスケアの解説も、パラパラ落ちるフケはおもにシャンプーのしすぎで起こるとしています。
皮脂の量は、年齢とともに減ります。同じ解説では、女性の皮脂が多いのは30歳代まで、男性は60歳代ごろまで。そのあとは皮脂が減り、乾いたフケが多くなる傾向です。もともと乾燥肌の人も、頭皮が乾きやすいとされています。
脂っぽいフケには、頭皮のカビがかかわる
脂っぽいフケには、マラセチアという菌がかかわっています。マラセチアは、皮脂を栄養にして生きるカビの一種です。
持田ヘルスケアの解説によると、マラセチアは誰の頭皮にもいます。皮脂の多い頭皮でこの菌が増えると、菌そのものや、菌が皮脂を分解してできた物質が頭皮を刺激します。この刺激によって、フケとかゆみが出ます。
マラセチアは頭のほかに、顔・胸・背中など皮脂の多い場所に住みつきます。皮脂が盛んに出る思春期から30代に多く、女性より男性に多い傾向です。
皮膚科医の清佳浩先生は、持田ヘルスケアの講座で数字を挙げています。脂漏性皮膚炎の人の頭皮には、健康な人の50倍以上のマラセチアがいるそうです。
カビと聞くと、不潔にしているみたいで気になります
マラセチアは誰の頭皮にもいる菌です。増えるかどうかを左右するのは、皮脂の量です。
フケで皮膚科へ行く人の約6割は、脂漏性皮膚炎
脂っぽいフケは、病気の入り口のこともあります。
持田ヘルスケアの講座では、湿った脂っぽいフケの多くを、医学的に脂漏性皮膚炎の前段階か軽い状態と考えています。フケの悩みで皮膚科を受診した人のうち、約60%が脂漏性皮膚炎という診断です。
脂漏性皮膚炎は、皮脂の多い場所に出る、かゆみをともなう湿疹です。持田ヘルスケアの脂漏性皮膚炎の講座によると、人口の3〜5%に起き、男女比は2対1で男性が多い。患者の約3分の2は頭皮に症状があり、髪の生え際によく出ます。約半数は顔にも出て、眉間や小鼻のまわりが赤くカサカサします。耳の入り口や耳の後ろにも出るとのこと。
脂漏性皮膚炎は、冬に軽くなるとはかぎりません。MSDマニュアル家庭版には、気候が寒くなると症状が悪化すると書かれています。
生え際・耳の後ろ・眉・小鼻にも赤みとフケがあるなら、シャンプー選びより先に皮膚科を考えてください。
洗う回数は、フケの種類で逆になる
フケの種類がわかると、洗う回数が決まります。2つの種類で、正解は逆向きです。
第一三共ヘルスケアの解説はこう分けています。乾いたフケは洗いすぎに気をつけて、洗う間隔をあける。脂っぽいフケは洗髪が足りないことがあるので、回数を増やす。乾燥肌の人なら1〜2日に1度、脂性肌の人なら毎日です。乾燥肌の人は、シャンプーを使わずにぬるめのシャワーで流すだけの日をつくってもよい、とも書かれています。
脂っぽいフケは、間をあけすぎると逆効果です。持田ヘルスケアの講座によると、頭皮の皮脂は洗ってから6〜24時間で、洗う前の量に戻ります。フケが多い人は、2日洗わないとかゆみが出ることが多い。そのため講座では、少なくとも1日おきに洗うよう勧めています。
どちらか決められないときは、1日おきに洗います。1日おきなら、乾いたフケの「1〜2日に1度」にも、脂っぽいフケの「少なくとも1日おき」にも収まります。
お湯・爪・すすぎ・ドライヤー
洗う回数のほかに、洗い方で見直すところが4つあります。
1つめはお湯の温度です。第一三共ヘルスケアと持田ヘルスケアの洗い方の手順は、どちらも、ぬるま湯で髪と頭皮を流すところから始まります。
2つめは爪です。爪を立ててごしごし洗うと、頭皮が傷つきます。指の腹で、マッサージするように洗ってください。
3つめはすすぎ。第一三共ヘルスケアの解説は、すすぎ不足を脂っぽいフケの原因に挙げています。シャンプーが残らないよう、たっぷりのお湯ですすぎましょう。皮脂がたまりやすい耳の後ろも、洗い残さないようにします。
4つめはドライヤーです。第一三共ヘルスケアは、ドライヤーを15cmほど離し、同じところに長く熱を当てないよう勧めています。自然乾燥は、髪がぬれている時間が長くなって細菌が増えやすいので、すすめていません。
頭皮のようすで、行き先を分ける
鏡と手で頭皮を見て、まずどの状態かを分けてください。目印は、フケの見た目と、頭皮が赤いかどうかです。
| 頭皮のようす | 考えられる状態 | 行き先 |
|---|---|---|
| 白く細かいフケがパラパラ落ちる。頭皮は赤くない | 乾いたフケ | 1〜2日に1度洗う。乾燥しがちな頭皮にも使える薬用シャンプーと、頭皮用ローション |
| 湿ったフケがかたまりで落ち、頭皮に貼りつく。頭皮は赤くない | 脂っぽいフケ | 毎日か、少なくとも1日おきに洗う。マラセチアにはたらく成分の薬用シャンプー |
| どちらか決められない。頭皮は赤くない | 決められない | 1日おきに洗う。乾燥しがちな頭皮にも使える薬用シャンプー |
| 頭皮が赤い。かさぶたや汁が出ている。生え際・耳の後ろ・眉・小鼻にも赤みとフケがある | 脂漏性皮膚炎などの病気かもしれない | 皮膚科 |
| フケ・かゆみ用の薬用シャンプーを使っても、フケやかゆみが治まらない | ほかの原因かもしれない | 皮膚科 |
頭皮が赤くないなら、洗い方とシャンプーで手当てができる状態です。
箱に書ける言葉は、化粧品・薬用・医薬品で違う
頭皮に使うものは、化粧品、医薬部外品、医薬品に分かれます。医薬部外品とは、国が認めた有効成分が決まった量だけ入っているもので、箱に「薬用」と書かれています。箱に書ける言葉も、区分ごとに違う。
| 区分 | 箱に書ける言葉の例 | 出どころ |
|---|---|---|
| 化粧品 | 「頭皮、毛髪にうるおいを与える」「フケ、カユミを抑える」 | 化粧品の効能の範囲(大阪府) |
| 医薬部外品(薬用シャンプー) | 「ふけ・かゆみを防ぐ」「毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ」 | 厚生労働省の通知(2014年5月2日) |
| 医薬品(ケトコナゾールの塗り薬) | 「脂漏性皮膚炎」などの皮膚真菌症の治療 | ニゾラールローション2%の添付文書 |
化粧品の箱にも「フケ」の文字は書けます。見分けるときは、成分表示の欄を見てください。薬用シャンプーには「有効成分」の欄があり、そこに成分名が書いてあります。
脂っぽいフケに向く有効成分は、マラセチアにはたらくものです。持田ヘルスケアの講座は、ミコナゾール硝酸塩、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオンなどを挙げています。
脂漏性皮膚炎の治療に使うケトコナゾールの塗り薬は、病院で処方される医療用医薬品です。薬局の棚には並んでいません。
フケの種類べつに選ぶ1本
脂っぽいフケなら、コラージュフルフルネクスト シャンプー すっきりさらさら 400mL【医薬部外品】のような、マラセチアにはたらく成分の入った薬用シャンプーを選びます。持田ヘルスケアの医薬部外品で、有効成分はミコナゾール硝酸塩とピロクトンオラミンの2つ。効能・効果は「フケ・かゆみを防ぐ、毛髪・頭皮を清浄にする、毛髪・頭皮をすこやかに保つ、毛髪、頭皮の汗臭を防ぐ」です。容量は400mLです(商品ページの表示)。
この1本の注意点は、赤くなった頭皮には使えないことです。同じシリーズの商品ページの注意書きには、湿疹や皮膚炎などがあるときは使わないよう書かれています。使ってもフケが改善しないときは使うのをやめること、その場合はフケの原因がマラセチアではない可能性があることも書かれています。
乾いたフケで薬用シャンプーを選ぶなら、ミノン 薬用ヘアシャンプー 450mL【医薬部外品】です。どちらのフケか決められないときも、この1本にします。第一三共ヘルスケアの医薬部外品で、有効成分はグリチルリチン酸2K。効能・効果は「ふけ・かゆみを防ぐ、毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ、毛髪・頭皮を清浄にする、毛髪・頭皮をすこやかに保つ」です。商品ページの表示では、植物性のアミノ酸系洗浄成分を使った弱酸性のシャンプーで、容量は450mL。弱点は、マラセチアにはたらく成分が入っていないことです。脂っぽいフケとわかっているなら、上の1本を選んでください。
乾いたフケで、洗ったあとの頭皮に塗るものを足すなら、キュレル 頭皮保湿ローション 120mlがあります。花王の化粧品です。商品ページの表示では、潤い成分として「潤浸保湿セラミド機能成分」とユーカリエキスが入っています。セラミドとは、水をつかんで離さない脂のことです。容量は120mlで、使う目安は1日1回。ノズルの先を頭皮に当てて、直接塗ります。弱点は、化粧品なので有効成分が入っていないことです。
シャンプーとローションは、両方そろえたほうがよいですか
先に洗う回数とシャンプーを替えてください。乾いたフケが残るときに、ローションを足します。
皮膚科へ行く目安
シャンプーを買う前に、皮膚科へ行ったほうがよい頭皮もあります。
まず、頭皮が赤いとき、かさぶたや汁が出ているときです。持田ヘルスケアの講座によると、脂漏性皮膚炎がひどくなると、強いかゆみで頭皮をひっかき、汁が出てかさぶたになることがあります。放っておくと、髪が細く乾いてつやがなくなり、抜けてくることもあります。
生え際・耳の後ろ・眉・小鼻にも赤みとフケがあるときも、皮膚科へ行ってください。どれも脂漏性皮膚炎が出やすい場所です。
フケ・かゆみ用の薬用シャンプーを使っても治まらないときも同じです。第一三共ヘルスケアの解説は、フケとかゆみをともなう病気として、脂漏性皮膚炎のほかに尋常性乾癬、頭部白癬、シラミなどの寄生虫、アトピー性皮膚炎を挙げています。
皮膚科での治療について、持田ヘルスケアの講座はステロイドの塗り薬とケトコナゾールの塗り薬を挙げています。ステロイドの塗り薬は即効性が期待できる一方、やめたあとに再び悪くなるのが早い。ケトコナゾールは、症状が落ち着いているときに使いやすい薬とされています。
よくある質問
Q. フケが気になるときは、毎日シャンプーしたほうがよいですか?
フケの種類で答えが分かれます。乾いたフケなら1〜2日に1度にして、洗う間隔をあけてください。脂っぽいフケなら、毎日か、少なくとも1日おきに洗います。決められないときは1日おきです。
Q. 冬に脂っぽいフケが出るのはなぜですか?
脂っぽいフケを左右するのは、皮脂の量とマラセチアです。季節だけでは決まりません。MSDマニュアル家庭版によると、脂漏性皮膚炎は寒くなると悪化します。生え際・耳の後ろ・眉・小鼻にも赤みとフケがあるなら、皮膚科で見てもらってください。
Q. 化粧品のローションにも「フケ」と書いてあります。薬用とどう違いますか?
化粧品は、効能の範囲として「フケ、カユミを抑える」と書けます。薬用シャンプーが書けるのは「ふけ・かゆみを防ぐ」で、国が認めた有効成分が決まった量だけ入っています。成分表示に「有効成分」の欄があるかで見分けてください。
Q. フケ用の薬用シャンプーを、赤くなった頭皮に使ってもよいですか?
使わないでください。コラージュフルフルの商品ページの注意書きには、湿疹や皮膚炎などがあるときは使わないよう書かれています。ミノンとキュレルの商品ページにも、湿疹など異常のある所には使わないとあります。頭皮が赤いなら、先に皮膚科で見てもらいましょう。
Q. 頭皮がかゆいとき、爪でかいてもよいですか?
爪で強くかかないでください。第一三共ヘルスケアの解説によると、かきすぎると皮膚のバリア機能が壊れて、症状が悪くなります。洗うときも指の腹を使います。
まとめ
- フケは、はがれ落ちた頭皮の角層。冬に増えやすいのは、白く細かい乾いたフケ
- 乾いたフケは皮脂が足りない頭皮から、脂っぽいフケは皮脂とマラセチアから出る
- 洗う回数は逆。乾いたフケは1〜2日に1度、脂っぽいフケは毎日か少なくとも1日おき、決められないときは1日おき
- お湯はぬるま湯、洗うのは指の腹、すすぎはたっぷり、ドライヤーは15cm離して乾かす
- 頭皮が赤い、かさぶたや汁が出ている、生え際・耳の後ろ・眉・小鼻にも赤みとフケがある、薬用シャンプーで治まらないときは皮膚科へ
乾いたフケが顔の乾燥と同じ時期に出るなら、セラミドの選び方は乾燥肌の化粧品の選び方で。皮脂を落としすぎると、かえって皮脂が出る話はテカリ・皮脂の化粧品の選び方をご覧ください。部屋の乾燥は、冬の困りごとの肌と喉が乾くで加湿器の選び方を書いています。
すねも粉をふいてかゆいときは、すねの粉ふき・かゆみの記事に見分け方があります。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話とつながっているページ
- 乾燥肌の化粧品の選び方|つっぱり・粉ふき別に使うもの
乾燥肌の化粧水は、水を足すだけのものより、成分表示にセラミド(水をつかんで離さない脂)と書いてあるものを選びます。顔がつっぱるだけなら化粧品の棚で足り、粉をふく・ひび割れているなら塗り薬の棚へ移ります。化粧水のほかに何を買い足すかも決まります。 - テカリ・皮脂の化粧品の選び方|出しすぎ・落としすぎ別に使うもの
読み終わると、いまのテカリが皮脂の出しすぎなのか、落としすぎの反動なのかが分かります。洗う回数を増やす以外の手も見つかります。 - 冬の困りごと:肌と喉が乾く
加湿器を強くすると窓が濡れ、窓の水滴を減らそうとすると今度は部屋が乾く。冬は、この2つが同じ時期に起きます。
リンク先は、どちらも広告を含むページです。
次に読む記事
- 冬の部屋干しが乾かない|除湿機の方式と浴室乾燥は干す部屋の温度で選ぶ
冬の部屋干しは、干す部屋の温度で道具が決まります。暖房の部屋なら乾くかわりに水が窓へ移り、寒い部屋ではコンプレッサー式の除湿機が霜で止まります。浴室乾燥と除湿機の電気代も1回ぶんで比べます。 - ホットカーペットの電気代は3畳で1時間約10円|面切り替えと安全な使い方
ホットカーペットの電気代は、3畳を目盛り3で使うと1時間約10円です。表示のワット数の半分ほどで計算します。畳数と面切り替え、下に敷く断熱シートで下げる方法と、寝ない・物を置かない・折らない注意まで。