ふるさと納税の返礼品(寄付のお礼に届く品)で牡蠣のページを開くと、同じ産地の同じ寄付額に「生食用」と「加熱用」が並びます。生食用のほうが上等な品だと思うかもしれません。
水揚げしてすぐ送るのが生食用だと考える人もいます。
実際には、2つの表示は牡蠣そのものでは決まりません。表示を分けるのは、獲った海の水を測った数字と、出荷までの処理です。
申し込む前に、まず生で食べるかどうかを決めてください。
この記事はこんな方に向けて書いています
- 生食用か加熱用か、どちらを頼めばよいか決めきれない
- 殻付きとむき身で、どちらが多く食べられるのか知りたい
- 届いた日に、何をすればよいのか知りたい
生食用と加熱用は、海水の数字で分かれます
生食用は、食品衛生法の規格基準を満たしたものだけに付く表示です。牡蠣そのものを検査して決めているわけではありません。
加工基準は2通りあります。ひとつは、海水100ミリリットルあたりの大腸菌群最確数(大腸菌のなかまの数)が70以下の海域で採ることです。もうひとつは、それ以外の海域で採ったものを、同じ基準の海水か塩分濃度3パーセントの人工塩水で浄化することです。
どちらの基準も、海水を測って判定します。広島県は、この基準に沿って海域を3つに呼び分けています。
| 海域の区分 | 採ったかきをどうするか | 出せる表示 |
|---|---|---|
| 指定海域 | そのまま出荷できる | 生食用 |
| 条件付指定海域 | 人工浄化(約20時間の換水)にかける | 生食用 |
| 指定外海域 | 浄化にかけない | 加熱調理用 |
売り場では「加熱用」とも「加熱調理用」とも書かれますが、指しているものは同じです。農林水産省は「牡蠣を見ただけでは、生食用かどうかを見分けることはできません」と書いています。広島県のページにも、鮮度は同じで、分かれるのは採取された海域だという趣旨の説明があります。
同じ日に同じ湾で同じ船が揚げた牡蠣でも、海域の線をまたげば生食用と加熱調理用に表示が分かれます。
浄化のあいだ、牡蠣は餌をとりません
海域の話には続きがあります。条件付指定海域で採ったかきは、そのまま生食用として出せません。紫外線で殺菌した海水を流し続ける水槽に入れて、広島県の説明では約20時間かけて換水します。
水槽の水には、プランクトンが入っていません。牡蠣は、その約20時間のあいだ餌をとりません。
海域そのものの差もあります。指定海域が設けられるのは、河口から離れた沖合です。加熱調理用として出す海域のほうが、山や川から流れこむ栄養分とプランクトンが多く、身がよく育ちます。
生食用の表示を付けるための条件は、身を太らせるには不利なものばかりです。生食用に身のやせたものがあるのは、この2つが重なるためです。
生食用は値打ちのある品だと思っていました
生で食べられる条件を満たすために、身を太らせる時間を使っているのです。値打ちの上下とは関係ありません。
生で食べないなら、加熱用を選ぶ理由があります
身の厚みの差は、そのまま選び方に使えます。鍋やカキフライ、炊き込みご飯にするなら火を通すので、生食の条件は要りません。同じ寄付額なら、身に厚みの残っている加熱調理用のほうが、皿に出したときの量で得をします。
ただし、守るべき線もあります。加熱調理用と書かれた牡蠣は、生で食べないでください。浄化にかけていないので、生で食べる前提の基準を通っていません。
火の通し方には目安があります。厚生労働省のノロウイルスに関するQ&Aは、ノロウイルスの汚染のおそれがある二枚貝について、中心部が85℃〜90℃で90秒以上の加熱が望まれると書いています。表面が縮んだところで止めず、真ん中まで火を入れてください。
粒の大きさと入り数が書いてあるページの1件が加熱用のむき身(Lサイズ・広島県産)です。加熱調理用なので、鍋とフライに使う前提で選べます。
生食用かきの規格基準に、ノロウイルスの項目はありません
加熱の話が出たので、生食用の表示が何を保証しているのかも見ておきます。生食用に付く成分規格は3つです。細菌数が1グラムにつき5万以下、E.coli最確数(大腸菌の数)が100グラムにつき230以下、腸炎ビブリオ最確数がむき身1グラムにつき100以下と決められています。
この3つに、ノロウイルスは入っていません。生食用という表示は、海域と浄化と、上の3つの数字を満たしたという意味です。
そのため、生食用の牡蠣を加熱して食べる選び方もできます。生食用の表示があっても、生で食べなければならないわけではありません。
生食用なのに、生で食べないことがあるのですか
生で食べてかまいません。ただ、表示が保証している範囲を知っておくと、食べる人に合わせて決められます
殻付き1キロのうち、食べるのは250グラムほどです
次は、届くかたちの話です。返礼品の牡蠣は、殻付きかむき身のどちらかで届きます。
文部科学省の日本食品標準成分表は、かき(養殖・生)の廃棄率を75パーセントとしています。捨てるのは殻です。
殻付き2キロなら、むき身に直すとおよそ500グラムです。20個と書かれたページでも、重さの4分の3は殻が占めます。
そのため、2キロの殻付きと1キロのむき身をグラム数で並べても、比べたことになりません。比べるときは、殻付きの重さを4で割ってからにしてください。
殻付きなら、殻を器にして焼く食べ方ができます。殻付きの牡蠣(8個・15個・30個から選べる)のように産地と入り数の両方が書いてあるページなら、届く前に置き場所を数えられます。
むき身は、グラム数と粒数の2つで読みます
むき身のページで重さと並んで書かれるのが、粒の大きさです。売り場ではL・2Lのような表示です。
同じ1キロでも、粒数によって1粒の大きさが決まります。1キロで40粒なら1粒25グラム、30粒なら1粒33グラムです。
1人が何粒食べるかは献立によって違うので、ここでは人数を計算しません。粒の数で考えておくと、鍋でもフライでも、レシピの分量にそのまま当てはめられます。
粒数が書いていないページでは、重さを見て申し込み、届いてから数えることになります。
殻を開けるには、軍手と先のとがったナイフを使います
殻付きを頼むなら、届く前に手袋を用意してください。殻のふちは刃物のように鋭く、素手で押さえると手が切れます。
真牡蠣は、平らな面を上にして持ちます。上下の殻の合わせ目にナイフを差しこみ、殻の内側に沿わせて貝柱を切ると、ふたが外れるはずです。
隙間が見つからないときは、殻の先の薄いところを金づちで軽く割り、そこから刃を入れてください。
力ずくで開けたくないなら、先に火を入れる方法もあります。殻ごと蒸すか電子レンジにかけると、多くは自然に口が開きます。開いた牡蠣も、生で食べる前提でないなら中心まで加熱してください。
殻の深いほうを下にして持つと、身の汁がこぼれません
届いた日に見るのは、保存温度と期限の欄です
箱を開けたら、まず表示のシールを読んでください。生食用のかきには保存基準があり、10℃以下で保存すること、冷凍したものは-15℃以下で保存することが決められています。
冷蔵室に入れれば、10℃以下の基準は満たせます。冷凍したものは、箱を開けてすぐ冷凍室へ移してください。
期限の欄も確かめます。生食用のむき身には消費期限が付いています。加熱調理用なら日持ちする、という読み替えはできません。
生食用と書かれたページの1件が生食用のむき身(内容量と配送月が選べる)です。生で出す日を決めてから申し込むと、期限に追われずに済みます。
真牡蠣と岩牡蠣は別の貝で、旬が逆です
名称の欄も見ておきましょう。返礼品には、真牡蠣のほかに岩牡蠣も並んでいます。名前が似ていても、真牡蠣と岩牡蠣は別の種類の貝です。
真牡蠣の産卵期は7月から8月で、水温が19℃から23℃になるころです。産卵に向かうと身が細くなるので、夏の売り場からは姿を消します。
岩牡蠣の旬は夏です。産卵に数か月かけるので、水温の高い時期でも身が細くなりません。殻は真牡蠣より厚く、粒も大きく育ちます。
| 真牡蠣 | 岩牡蠣 | |
|---|---|---|
| 水揚げの時期 | 10月から4月 | 6月から9月 |
| 産卵期 | 7月から8月 | 夏のあいだに少しずつ |
| 育ち方 | ほとんどが養殖 | 天然と養殖の両方 |
| 殻 | 薄い | 厚い |
夏に牡蠣が並んでいたら、名称の欄を見てください。「いわがき」と書かれているはずです。
真牡蠣の水揚げは10月から4月です
かたちと表示を決めたら、最後は申し込む月です。
真牡蠣の水揚げは10月に始まり、4月ごろまで続きます。産卵に向かう5月から9月は、返礼品の棚で真牡蠣が減り、代わりに岩牡蠣が並びます。
12月は、冷凍と冷蔵の魚介の発送が重なる月です。着く日を選びたいなら、配送時期の欄に日付の指定があるページを探してください。
殻付きは、発泡スチロールの箱のまま届きます。殻を開ける作業は流し台でするので、箱を置ける場所を空けておいてください。
返礼品のページで、どの欄を見るか
ここまでの話を、ページのどの欄で確かめられるかで整理します。
| 見る欄 | 分かること |
|---|---|
| 生食用であるかないかの別 | 生で出せるか、火を通すか |
| 名称 | まがきか、いわがきか |
| 内容量 | 殻付きの重さか、むき身の重さか |
| 入り数・粒の大きさ | 1粒が何グラムになるか |
| 保存方法 | 冷蔵か冷凍か |
| 消費期限・賞味期限 | 何日で食べきるか |
| 配送時期 | 着く日を選べるか |
寄付額を内容量で割るのは、殻付きかむき身かを確かめてからにしてください。控除の上限や申告のしかたは、自治体とお申し込みのサイトの案内で確かめてください。
よくある質問
Q. 加熱調理用を、真水でよく洗えば生で食べられますか?
洗っても生食用にはなりません。生食用かどうかは、採った海域と浄化の工程で決まります。家庭で洗う工程は、その基準に入っていません。
Q. 生食用かきなら、生で食べても食中毒は起きませんか?
規格基準は細菌数とE.coliと腸炎ビブリオの3つで決められていて、ノロウイルスの項目はありません。心配な日は、中心部が85℃〜90℃で90秒以上になるまで火を通してください。
Q. 加熱用のほうが安いのは、品が落ちるからですか?
品の上下とは関係ありません。浄化の工程と指定海域までの手間がかからないぶん、寄付額が低めに設定されています。身の厚みは、加熱調理用のほうが残っていることもあります。
Q. 2キロの殻付きと、1キロのむき身では、どちらが多く食べられますか?
むき身1キロです。殻付きは廃棄率が75パーセントなので、2キロのうち食べられるのは500グラムほどです。
Q. 冷凍のむき身は、解凍してから調理しますか?
袋の表示に従ってください。凍ったまま鍋やフライに使うよう指定しているものと、冷蔵庫で解凍するよう指定しているものがあります。
Q. 夏に届く牡蠣も、真牡蠣ですか?
夏に出るのは岩牡蠣で、真牡蠣とは別の種類です。岩牡蠣の水揚げは6月から9月なので、夏が旬にあたります。
まとめ
- 生食用と加熱調理用は、海水100ミリリットルあたりの大腸菌群最確数が70以下かどうかと、出荷までの浄化で分かれる。鮮度の差ではない
- 条件付指定海域で採ったかきは、約20時間の換水にかけられる。そのあいだ餌をとらないため、生食用には身のやせたものがある
- 火を通す料理なら、加熱調理用に身の厚みが残る。ただし加熱調理用を生では食べない
- 生食用に付く成分規格は細菌数・E.coli・腸炎ビブリオの3つで、ノロウイルスの項目はない
- 殻付きの廃棄率は75パーセント。2キロ頼んでも、むき身に直すと約500グラム
- 真牡蠣が揚がるのは10月から4月、岩牡蠣が6月から9月
まずは、ページの「生食用であるかないかの別」の欄を見てください。
12月のほかの魚介は、12月の魚介カレンダーにタラやブリと並べてあります。
12か月ぶんは魚介・海鮮の旬カレンダーにまとめました。
この記事で挙げたものを、もう一度並べます。
商品は楽天で探して、★4.3以上のものを、レビューの多い順に並べています。 ★の数も価格も、売り切れかどうかも日ごとに書き替わります。押した先の商品ページで、いまの表示を確かめてください。
この話に出てきた返礼品を、まとめて見る
- 12月の魚介・海鮮
カニもいくらも、食べたい月になってから探すと売り切れていることがあります。申し込みの受付は、食べたい月の数か月前に始まります。申し込みの目安は、ウニが5月ごろ、いくらが8月ごろ、ズワイガニが10月ごろです。 - ふるさと納税 魚介・海鮮の旬カレンダー
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